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(覚書)なぜ原油先物価格がマイナスになったのか?

限月」と「現物受渡」というシステムが原因

 「先物」には月や四半期ごとに取引期限がある。

 「5月限(ゴガツギリ)」の場合、昨日までに取引を解消しないと5月中に原油を指定箇所で受渡す必要がある(*1)
 →マイナスになったNymex原油先物(*2)はオクラホマ州の「クッシング」という米内陸に受渡場所が指定されている
 →当地の倉庫が満杯に近づく。更に原油は毒物なので廃棄不可、更に酸化(劣化)しやすく、景気悪化で近々の需要も僅少

 →もうどうしようもないじゃん!と買い方が取引解消に動いて売り、価格下落…
 →先物市場は実需筋(*3)よりも投機家が多く、下がっているなら売ったれ!というトレンドフォロー型の投機家が売りを拡大させる(*4)


(*1)交渉次第ではそうでない場所でも可能だし金銭でも解決可能だが、不透明感があり避けたいと考えるだろう。

(*2)欧州は北海ブレント、アジアはドバイが原油価格の算出基準となっており、ここまで内陸ではないこともあって価格がここまで下がってはいない。また、今満杯なだけなので6月限以降はマイナスにはなっていない。

(*3)先物市場はプロ(採掘業者、投資家投機家)が参加しておりで、電力会社のような安定需要の持ち主は長期契約で先んじて調達していたりする。

(*4)CTAと呼ばれる投機家の売りが価格を動かすことが多いとされる。米株が突然崩れるときはこいつらが悪者に…

ここからどうなるの?

 Nymexがそういう場所にあるから、価格がこういうことになったのは確か。

 ただ、原油の需要が減っていることに今回の出来事は端を発しているので、こういったことがもう起きないとは思い難い。

 原油の需要と供給がバランスする(OPECの更なる減産、輸送の再開、シェールオイル生産業者の供給停止)まで、不安定な動きが続く可能性が高い。